目覚めの一杯
今週はタイ北部のチェンマイに来ています。
かつて、ランナー王朝があった地。もともと仏教信仰の篤い土地で、王朝はそれを積極的に取り入れることで、人々の支持を集めました。
その名残は、チェンマイに今でも多くあります。
市内には数多くの仏教寺院が点在し、朝早く散歩すると、お坊さんが托鉢に回っているのを見かけます。
一方で、近代的な街並みの中に突如現れる王朝時代のむき出しの赤土の建造物は、重厚感たっぷりで、いまだに存在感を放っています。
現代の洗練された見た目の寺院との対照が印象的です。
さて、チェンマイは近年注目されているお茶の産地でもあります。
中国の雲南省やベトナム北部と同じように、チェンマイやチェンライの山岳地には、樹齢数百年のお茶の樹、いわゆる古茶樹が多く自生しています。
街中のお茶屋さんで聞いた話では、人間がこの土地に踏み入る以前からの、樹齢2000年を超えるお茶の樹もあるそうです。
朝の散歩から宿に戻り、昨日お茶屋さんで買った緑茶を早速飲みます。
独特な野性的な味。茶葉100%なのに、ハーブ系の強い印象。あとから来る確かな苦味。
チェンマイの深い森の雰囲気が、お茶から伝わってきます。
早朝という時間帯は、お茶の大自然を味わうのに最適です。空っぽのお腹、口の中にはまだ何も入っていない。ここに自然の恵みを流し込めば、お茶の気が素直に巡るのを感じられます。
この目覚めの一杯は、私にとって、朝の至福の瞬間であり、一日の最高のスタートを切るある種の儀式なのです。
かつてブッダが托鉢という行為に込めた「食は恵まれるもの」という思想。
早朝の一服にも、立ち現れています。